JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

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1アマ、今昔

私が無線に目覚めたのは小学生の時。
確か、小学校4年の時だったと思います。
今は亡き母に手を引かれながら、電話級の試験を受けるために、田舎の町から50キロも離れた試験会場まで汽車に揺られながら向かったのは・・・。
もちろん結果は不合格。

あの幼き頃、家の白黒テレビが映らなくなり電気屋さんが修理に来てくれました。
テキパキと慣れた手付きでテレビの後ろ側のパネルを外して、電球のようなガラス管(真空管)を抜いて新しいものに交換して電源を入れると・・・
ブラウン管が徐々に明るくなり、さっきまで何も映らなかったテレビから音が聞こえて映るように。
この時、電気屋のおじさんが魔法使いに思えました。
そんな修理を一部始終、食い入るように見ていた、そんな子供時代の記憶が蘇ります。
とにかく、電気で動くものに異常なほどに執着し、興味を持っていた小学生でした。

アマチュア無線というものを知ったのも丁度その頃で、母に頼んで教科書を1冊だけ買ってもらいました。
そして教科書を開いては見たものの、何が書いてあるのかチンプンカンプンで・・・
こんな状態のまま試験会場に行ってはみましたが・・・
結果は、予想通りの記念受験になりました。。。

近所に無線をやっている人もいなく、兄弟や親戚も電気モノには全く興味なし。
『いつの日か必ず合格するぞ』と思いながら、その後は試験を受けることもなくなり、中学生になるまで BCL で短波放送を聞いたりと茶を濁して遊んでおりました。

この頃は空前の BCL ブームで、ある日、BCL 仲間から、
「アマチュア無線の試験は問題集と同じものが出題される」
ということを教えて貰いました。

私も中学生になっており、多少の知恵も付いたようです。
問題集だけ買ってきて、とにかく暗記しました。
問題を一瞬だけ見ても回答できるほどに丸暗記です。

そして、結果は合格です。

ここからです。
丸暗記だけで合格できることを知ってしまったのは・・・
(本当にこれでいいの。。。一応、国家試験なんでしょう。。。?)

電信を覚えて、丸暗記で電信級に。
そして丸暗記で2アマに。
電信は苦にならずに覚えられたので、和文も覚えて丸暗記で1アマに。
気がつけば、高校1年の時には1アマになっていました。

とにかく丸暗記です。
悲しいかな、昭和の時代もハムの試験は丸暗記で合格できました。

時々、古い無線家の方が、昔の1アマは技術力が高かった。
そして権威があった。
というような事をお話しされます。

そんな話を聞く度に、暗記だけで合格した私は、心が痛みます。

グーグルで調べたところ、四級アマチュアの最年少合格者は4歳の女の子だそうです。
所詮、4歳でも合格する資格です・・・
4歳児が 7M のダイポールアンテナの VSWR を調整できるとはとても思えません。
(私の娘も3アマですが、SSB と FM の違いもわかってないし、コールサインがあっても一度も電波を出したこともありません。) 

ようするに、資格の種類はどうでもいいってことで。。。。
(とは言っても、設備規則的に制約はありますが)

 大切なのは、アマチュア無線を通して、

  • 何ができるか

  • 何をするか

ってことで、これに尽きると思っています。

スキー場での連絡手段の一つとして免許を取る人もいるでしょう。
それも大いに結構です。
コンデンサと抵抗の区別が付かなくても何も困りません。

私も、これまで CQ 出版の豆本だけの暗記を奨励し、
多くの「電子部品の抵抗を一度も見たことがない」といった、そんな無線家を誕生させました。

教科書だけで勉強して資格を取る人も世の中にはいるでしょうが、そんな凄い人はごく少数でしょう。
秋葉原にある書泉の無線コーナーを見ても、問題集ばかりが置いてあります。
教科書の種類より問題集の方が多い。これが現実の無線の資格です。

1アマの今昔ですが、
試験から電信の実技が消えたこと。年2回だった試験が3回に増えたこと。
確かに昔よりは合格しやすくはなったと思います。
ですが、工学や法規の問題について言えば、今も昔も変わらずに、丸暗記するだけで合格します。
いわゆる、既出問題は6割から7割は出題されるので、しっかり丸暗記すれば必ず合格します。
新問に全く手を付けなくても合格できる。これが、この試験です。
この出題傾向は昭和の時代から変わっていないと思います。

丸暗記の大変さも、今も昔も同じだと思います。

最後にもう一度、繰り返します。
私にとってのアマチュア無線とは、

  • 何ができるか

  • 何をするか

ってことで、

 

アマチュア無線(アマチュアむせん)とは、金銭上の利益のためではなく、無線技術に対する個人的な興味により行う、自己訓練や通信、また技術的研究のことである (ウィキペディア)

 

少しずつではありますが、
自己訓練を重ね、これからも技術的研究を続けていきたいと思っています。