JH1LHVの雑記帳

和文電信好きなアマチュア無線家の雑記帳

41dB Step RF Attenuator を作る

先日は 20dB と 50dB のカプラーを作った話しを書きましたが、

1dB から 41dB で減衰量が可変できる「ステップ・アッテネータ」を作ったので、

今日はその経過を撮影した写真を中心にアップしていきます。

 

jh1lhv.hatenablog.jp

 

今回の製作では、Pacific Antenna に掲載されている回路をそのまま使っています。

減衰量を決めている抵抗値についてもオリジナルのままの値、何も変更していません。

 

www.qrpkits.com

 

f:id:JH1LHV:20170621173743j:plain

http://www.qrpkits.com/files/attenuator_assembly_101412.pdf

 

ここの Pacific Antenna ではキット販売もやっているようですが、

ご覧のとおり、Temporarily out of Stock になっていて、在庫も無いようなので・・・

仕方ないので、自分の手で作ることにしました。。。

 

f:id:JH1LHV:20170621173609j:plain

回路としては一般的な減衰器である π 型の構成になっています。  

 

最初、CNC フライスで自分で基板を作ることを考えたのですが、

東京に戻ってからというもの、一度も CNC を動かしてないし。(引っ越しの段ボールに入ったまま) 

実際に CNC で切削するにしても、

ガーバーデータから基板切削のための G コードを生成したり

基板の反りを考慮したレベリングが必要だったりと・・・結構な手間が。。。

それに、せっかく切削しても、仕上がりが汚かったりするしね。 

 

やっぱり、基板を外注するって・・・便利ですね。

 

基板代だってお手頃価格だし、それに到着も早いので、結局 Seeed Fusion PCB に頼んじゃいました。

 

KiCad を使う

KiCad を使って回路図を描き、ガーバーデータを作りました。

ここでは Pacific Antenna の 41dB Step RF Attenuator の回路をそのまま使いました。

 

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パーツのトグルスイッチだけ KiCad のライブラリに無かったので適当に作りました。

 

Pacific Antenna の回路を信用してないわけじゃないのですが、

iPhone アプリの RF-Toolbox を使って各減衰量における抵抗値だけは確認しておくことにしました。

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1dB の減衰量を得るには、869Ω ✕ 2、5.7Ω が必要ということ。

 

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ということで、1dB から 20dB まで RF-Toolbox で計算させてみましたが、

Pacific Antenna の回路と数値的には同じで、

E24 系列の抵抗値としても適切な値になっていることが分かります。

 

さらに、Circuit Simulator Applet を使って、ざっくりですがチェックしてみました。

f:id:JH1LHV:20170625222243j:plain

この例は 3dB の回路なので、

1V / 1.41倍(3dB) = 0.709V = 709mV なので・・・まぁこんなものでしょう。 

 

f:id:JH1LHV:20170625222300j:plain

10dB だと、1V / 3.16倍(10dB) = 0.316V = 316mV なので、これも良い感じです。

 

とまぁ、これらのシミュレーション結果からも、

この回路で目的とする減衰量が達成できそうなので・・・この構成で基板を発注することに決定です。

  

seeed Fusion PCB に基板を発注する

ホントのところ、今回製作分の1枚だけでよかったのですが。。。

最低 5枚 からの注文ということで・・・費用もそんなに変わらないので 10枚 で注文しました。

 

注文前に絶対に確認しておくべきこと!

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pcbnew で描いた基板を実寸で印刷してパーツの収まり具合を確認します。

今回は抵抗とスイッチという2種類だけのパーツ構成ですが、

この確認作業だけは基板の発注前に必ずやっておくことをお勧めします。

基板の発注を急ぐ余りこの作業を手を抜くと・・・後で泣きを見ることになります。。。 

 

あと、もう一つ、注文前に確認しておくことがあります。

ZIP で圧縮したガーバーデータを Fusion PCB にアップして、

Gerber Viewer で実際の出来上がりイメージを確認しておきます。

 

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発注する基板の表面です。

 

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そして、これが裏面になります。

これで OK なら、あとは枚数等の必要項目と配送方法を決めて注文するだけです。

 

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6/11 注文して、6/23 に DHLで到着しました。

 

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発注した基板はこのクッション封筒の中に入っています。

 

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こんな感じですね。

 

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一応、全ての基板に付いては点検チェックしておきました。

全て問題なしでした。

 

組み立てを開始します

Seeed から届いた基板にパーツを挿してハンダ付け。

そして少々面倒なケース加工を行います。 

今回の製作で使った主なパーツ 

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基板はケースにスペーサで固定しようと考えていたのですが、

スイッチ7個の取り付けで強度は十分に保たれるので、結局スペーサは使いませんでした。

 

  • トグルスイッチ(2回路2接点)
    基板とパネルの両方に取り付けできるという、秋月電子で売っている共用タイプを使いました。(このトグルスイッチのピンピッチに PCB は合わせています。)
    f:id:JH1LHV:20170625135751j:plain
    トグルスイッチ2回路2接点(ON−ONタイプ): パーツ一般 秋月電子通商 電子部品 ネット通販

  • 2W 抵抗(酸化金属被膜 ±5%)
    秋葉原の千石電商から @20 で購入しました。
    形状は 1W のものと同じで、この大きさに合わせて PCB はデザインしています。
    f:id:JH1LHV:20170624131730j:plain
    上の抵抗は中華から買った 2W のもので、下のは今回使ったものです。
    同じ 2W なんだけど・・・こんなに大きさが違う。。。

  • ケース
    LEAD のカバー付きアルミシャーシ、P-104(150✕40✕70)を使いました。
    高さがあと1、2cm 低いとバッチリなんですが、基板はちょうどいい感じ収まってくれるので。
     

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ごちゃっとした抵抗の塊から、

適当に1本ずつ選んでは、テスターで値を確認しながら基板に挿し込んでいきます。

 

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抵抗が全て挿し終わり・・・最後にもう一度、テスターでチェックします。

 

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トグルスイッチの取り付けなんですが、

ピンの直径を考慮してドリル径を決めたはずだったのですが・・・結構、キツキツ。。。

まぁ、挿し込めるレベルだったので・・・助かりました。

 

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BNC との接続に 3D2V を使おうとして最初はこんな感じに配線したのですが。。。

こんな面倒なことする必要はありませんでした。

 

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右側の BNC は 3D2V で、左側の BNC はこんな感じです。

最初から両方共に左のようにすべきでした。

 

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そして最後に裏蓋をして、完成です。

 

抵抗とトグルスイッチだけという簡単な回路構成ですが、

やはり最初から基板があると作るのは楽ですね。

まるで、キットのような手軽さで、あっという間に完成です。

 

こうなるとケースの穴あけが一番面倒。。。

でも、これも簡単に済むように・・・トグルスイッチ使うことで丸穴だけにしました。

 

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ケースにテプラでラベリング。

トグルスイッチの関係から、スイッチを上に倒して減衰量を調整します。

(オリジナルの「41dB Step RF Attenuator」とオン・オフの向きは逆になります。)

 

APB-3 で減衰量を確認します 

APB-3 のネットワークアナライザで、実際の減衰量を確認してみました。

 

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35MHz まで ±0.5dB の範囲で波を打ってますが、 

減衰量はトグルスイッチの位置通りに可変してくれたので・・・まずは良かった。 

 

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30dB、35dB、40dB はこんな感じです。

 

ホントは今回の基板は CNC で作ろうと準備していたのですが、

KiCad でガーバーデータまで生成して仕上がりのイメージを確認するため、

Fusion PCB のサイトにある Gerber Viewer で表示させてたら、

これから CNC を引っ越しの箱から出して・・・

基板の反りを補正するためレベリングした G コード作って・・・

なんて考えてたら、すっごく億劫になっちゃって、

そのまま Fusion PCB の発注ボタン表示に逆らえずにクリックしてしまいました。

 

ここの Fusion PCB では、

基板の大きさが 10cm✕10cm までなら凄く安く作成できるのですが、

今回作った基板は 15cm✕5cm と 10cm を超えているので・・・ちょっと高くなっちゃいました。

 

でも、自分で CNC で切削するという手間と時間を考えると・・・仕方ないかな。

まぁなんと言っても、仕上がりが綺麗なので。

 

と言いながらも、やはり今回の基板は片面1層なので。

やっぱり自分の中では CNC で削りたかった・・・と悔やむところもあります。

基板を外注するなら両面2層からと決めていたので、なんかなぁ~って感じです。

今、何かと忙しい日々を送っているので、CNC 切削はその内にということで。。。 

 

それにしても、KiCad とか Fusion PCB だとか、電子工作するには良い時代になりましたね。

今回の基板程度なら KiCad で回路を描いて、

Fusion PCB に発注するまで 2時間もあれば終わってしまいますからね。

貧乏暇なしの今のわたしには、ホント幸せな時代です。^^ 

 

最後に改めまして、

私にアッテネータを作る機会を与えてくれた、Pacific Antenna のウェブに感謝します。

 

  

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